鍵交換をしても鍵がすてられません。鍵交換した後も不要の鍵をキーホルダーにじゃらじゃらいくつもの鍵をぶら下げているのですが、ほとんどが今となっては不要の鍵です。ただなぜか捨てられないのです。例えば今は手放してしまった愛車の鍵や、以前住んでいたマンションの鍵等いくつもの鍵がぶら下がっているのです。暇な時にその鍵を眺めてその愛車や、以前住んでいた街を思い出すのです。鍵が触媒といっても良いでしょう。先日、マンションの部屋の鍵交換をしたため、また一つ鍵が増えました。住んでいる部屋の鍵交換を行なったのは初めてのことです。住んでいる場所の鍵は二つも要らないため不要のものは捨てれば良いのですが、これがまた捨てられないのです。そんなにいっぱい鍵を持っていれば、本当の鍵、使える鍵がどれかわからないではないか、とよく指摘を受けますが、まさにその通りです。自分の部屋の鍵を見つけるのに一苦労することも少なくありません。鍵が捨てられないのは子供の頃の鍵交換の経験に拠るところが多いのかもしれません。小学生の頃のことですが、学校から帰るといつものように玄関先にカバンを放り投げ、近くの公園に遊びにいったのです。その日はなぜかいつも公園に居る遊び仲間が一人もおらず、仕方なく遊ぶのを諦めて家に戻ったのです。いつもより数時間早く帰宅したのでしょう。そして家に入ろうとすると、鍵が開かないのです。鍵交換されていたのです。その時の怖さといったらちょっとしたものでした。地球上に一人で置き去りにされたような気分になったのです。無論、住人が替わって鍵交換したわけではなく、鍵の調子が悪く鍵交換しただけなのですが、たまたま早く帰宅したせいで鍵交換したことを知らなかったのです。何度も何度も鍵交換されてもはや使えなくなった鍵を鍵穴に差し込んでドアを開けようと試みたのですが、当然の事ながらドアは開くことは有りませんでした。この時の感情が今も残っているのだと思います。今となっては笑い話です。